インタビュー

ソリューションの力で、メディア企業の課題を解決する【Pubdesk】

エンハンスでは2014年の創立当初から展開していた『メディアコンサルティング事業』に加えて、2022年、新たに『ソリューション事業』と『広告主向けメディアプランニング事業』を開始しました。
今回は、『ソリューション事業』のプロダクトリーダーである石井さんに、事業紹介とメインプロダクトである【Pubdesk】のアップデートした内容について、インタビュー形式で解説してもらいます。

石井さんプロフィール写真(正面)

石井沙織 シニアコンサルタント
2018年エンハンスに入社後、広告主向けサービスの企画営業に従事。
2020年にメディアディビジョンチームのコンサルタントとして、大手出版社やAppメディアのコンサルティングを担当。
2022年1月より、コンサルタント兼ソリューション事業のプロジェクトリーダーに任命。

インタビュワー:荒(エンハンス広報担当)

ソリューション事業の立ち上げ

荒:まず最初に、『ソリューション事業』の内容を教えてください。

石井:この事業は、エンハンスがソリューションを通してメディア企業様が抱える課題を解決していくことを目指した事業になります。

荒:元々コンサルティング事業の一環で、独自開発したBIツールの提供や外部ソリューションの利活用はおこなっていたと思いますが、事業化として分けたということでしょうか?

石井:そうですね。事業化した理由は時代の変化が大きいと私は思っています。
最近では、コロナ禍で消費者(メディアユーザー)のライフスタイルが大きく変化したことや、Cookieレス時代到来によるアドテクノロジー業界の市場変動により、メディア企業様が抱える課題が多様化し、エンハンスに求められていることが変わってきたと感じているんですよね。

荒:確かに、ここ数年アドテクノロジー業界の動きは激しかったですね。

石井:それから、私たちのビジネスパートナーであるメディア企業様は、追っている指標や課題、考え方がそれぞれ違うこともあり、ソリューションの提供を通して、業界の変化と各メディア企業様の声に応えていくため、新たに事業として立ち上げることにしました。

メディアコンサルタントだから気付いたニーズ

荒:では、この事業の中で、特に力を入れているサービスは何でしょうか?

石井:力を入れているサービスは、2017年からメディア企業様に提供している【Pubdesk】ですね。
2022年に入り、初めて大きなアップデートをしました。

提供を始めた当時は、日次で各事業者のデータを一括管理できるレポートツールとして、広告運用担当の方に活用していただいていましたが、玄人向けツールだったんですよ。

荒:私も初めてPubdeskを使った時、レポート作成に時間がかかりました・・・。

石井:データ精度は高くても、”視覚的” に広告単価や売上を確認することが難しい管理画面だったので、Pubdeskを使い込んでいただき、慣れてもらう必要がありました。

旧Pubdeskレポート画像

石井:それから最近では、Cookieレス時代の到来やマネタイズ方法の多様化により、メディアの広告運用担当の方の業務範囲が広がったことで、プログラマティック広告に注力しづらくなってきたと私は思っています。

荒:それは、Cookieレス時代に課題と言われている、プログラマティック広告単価の減少が関係しているのでしょうか?

石井:そうですね。従来のメディアマネタイズにおいて、プログラマティック広告への依存度は高いものでした。
ですが、Cookieレスの動きにより、メディアマネタイズ戦略が変化し始めたため、広告運用担当者の方が、タイアップや純広告の対応やユーザーログイン施策など、さまざまな業務を担当するようになっているように感じます。

荒:業界変化に伴い、メディア企業様が対応しなければならないことが増えていますね。

石井:実際に広告運用をおこなうには、単価調整だけではなく、レポーティングと分析、単価変更後の収益の確認など、対応することが山積みです。
私たちもこれまでに80以上のメディアの収益化をご支援してきたなかで、広告運用を少しでも効率的・効果的にしていきたいと常々思っていました。

こうした背景から、運用をわかりやすく・簡単にすることで、メディアのコンテンツ施策やデータ活用など本来の活動に注力いただけるよう、「運用支援ツール」としてリニューアルすることにしました。

自社開発だからこそ実現できた機能

荒:広告運用担当者の方々のニーズをPubdeskで具現化させることは大変でしたか?

石井:はい、大変さだけではなく、時間も必要でした。

Pubdeskは、ベトナムにあるエンハンスの子会社で開発をしているのですが、
アップデートを進めるために、管理画面上はどんなUIで表現し、どういう機能を追加するのか、毎週のプロダクト会議で何度も議論しましたね。

なかには実現することが難しい要望もあったと思うのですが、ベトナムに在籍するエンジニアと彼らをまとめる日本のプロダクト開発室の協力もあり、思い描いていたものをPubdeskで表現することができたと思っています。

またご利用いただいているメディア企業様からの要望もすぐに開発に反映させることができることも自社開発の強みだと思っているので、対応してくれているベトナムのメンバーには感謝しています。

ベトナム開発拠点メンバーの集合写真
写真:ベトナム開発拠点のメンバー

荒:メディア企業様との関係性と、自社で開発できる体制が整っていたからこそ実現できたツールですね!

組織でメディアのマネタイズが実現できるように

石井:それから、私は広告運用担当者の方 ”以外の人” にもこのツールを使ってもらいたいと思っています。

荒: ”以外の人” というのは具体的に、どのような方ですか?

石井:例えば、編集部の方や企業の役員の方々です。
コンサルティングをしていると担当者の方から、「上長への実績報告や、他部署への施策共有に悩んでいる」と相談を受けることがあります。
とくに運用型広告周りは、属人化してしまっていることも多いと感じており、なかには突然、広告運用担当の方が退職してしまい、引継ぎができていない場合もありました。

共通認識があるだけでも、社内コミュニケーションや人材育成がより円滑に進むと思うので、Pubdeskを通して少しでも力になれればと思っています。

またデザインリニューアルなど、サイト全体の施策によって大きく売上が変わることもあるので、組織として運用型広告の指標を把握することは大切だと思います。
今回のアップデートでは、誰でも簡単に触れて、いつでも数値の確認ができる数字の可視化を意識し、レポートの種類や設定のしやすさを研究、開発して実際に使ってみたうえで修正を繰り返しました。
旧Pubdeskとは比べものにならないぐらい、使いやすいものができたと思っています!

新Pubdeskレポート画像

荒:私も新しいPubdeskを使ってみました。
設定も分かりやすくて、様々な切り口やレポートフォーマットで指標を表現できることは大きな変化ですね!

石井:それから今回のアップデートで一番大きな機能が追加されました。

荒:それはどんな機能ですか?

石井:『自動運用最適化機能』というものです。
メディアの多くは、広告枠をデバイス別で、さらに複数枠設置していて、広告運用担当の方は単価に収益、市況感やサイト施策など分析しながら、細かくレート調整を変更する必要があります。

定期的な運用をおこなうことや、PV施策を視野に入れた運用調整を継続することは、マネタイズにおいて重要ですが、先にも述べたように業務範囲が広くなり、なかなか運用までしっかりモニタリングすることが難しくなってきているんですよね。

インタビュー風景

そこで、担当者でなくても運用調整ができるようになれば、広告運用担当の方が別業務に集中することができるのではと 考えたんですよ。
そこで弊社独自の技術を使った、自動運用最適化機能をPubdeskに追加することにしました。
この機能を有効活用していただくことで、作業効率化を計ることもでき、広告運用初心者の方でも運用調整ができると思います。

荒:広告運用担当の方と同じ目線でコンサルティングに取り組んできたエンハンスだからこその機能ですね!自動で最適化をしてくれる機能は魅力的なので、多くの方に使っていただけると嬉しいですね。

メディアの資産をマネタイズするために

石井:実はPubdeskはCookieレス時代に向けた優先取引ツールとしても活用されています。

荒:それは今回のアップデートと関係しているものですか?

石井:そうですね。これまでも私たちは、メディアマネタイズの一環として、Pubdesk上のデータを基に、各SSP事業者と単価の交渉やPMP販売促進に取り組んでいたのですが、今回のアップデートで、データ精度の向上と新たな指標の取り込みができるようになり、これまで以上に正確で様々な切り口のデータを使い、広告主様・代理店様へエンハンスから広告在庫の販売をおこなうことができるようになったんですよ。

荒:それはメディア企業にとってもマネタイズ施策の一つになるので、嬉しいですね!

石井:Cookieレス時代の流れのなかで、新たなマネタイズ方法を摸索しているメディア企業の方は多いと思うのですが、その方法やリソースがないという相談をもらいます。

また広告主様も、この時代の流れの中でどうやって広告効果を高めていくかを考えています。そこで私たちは、Pubdesk上にあるデータとメディアデータを活用して、メディアプランニングを広告主様にご提案をしています。さらに、グループ会社の強みも活かして、マイクロアド販路の営業活動もおこなっています。

荒:Cookieレス時代に向けて、エンハンスがメディア企業様と広告主様・代理店様を繋ぐ役割を担えるように活動しているということですね。

石井:はい。まだまだこれからですが、こうした形でもメディア企業様の役に立つことができればと思っています。

 

Saori Ishii

大手出版社WEBメディアやAppのマネタイズコンサルティングを担当。エンハンスでは広告主向け商品企画をしていた時期もあり。最近、念願だったドラム式洗濯機を手に入れた。